日本での再会

約束はかなわず

自身3回目の訪中となった中国ロケで奇跡の再会をした
TVスペシャルドラマ(詳細は中国ロケ~3~)も
帰国後に調布の大映スタジオ(現・角川大映スタジオ)でセット撮影と
御殿場他でのロケをこなしてクランクアップ。
その数日後、
中国の「中ヱ」でT監督とした、日本での再会の約束を果たすべく、
仕上げ作業をすると言っていた東京現像所に出向いた。
しかし、
監督の言っていた映画のスタッフは確かに来ることになっているが
予定が伸びていつになるか未定で来るかどうかもわからなくなったとの事だった。
残念だったが、当時は携帯電話など持ち合わせてはいなかったし
問い合わせ先も知らなかったので
監督本人と連絡をとるすべもなく
自分もその後すぐに別の仕事について半ばあきらめて
年を越した事もあり、終にはすっかり忘れていた。

奇跡は突然に

翌年の3月の事、「再会」は突然訪れた。
通念通り確定申告のために武蔵府中税務署へ行った。
帰りは京王線で調布まで。
そこからはバスなのだが、ちょうどおひるだったので食事して帰ることにした。
当時の調布駅はまだ地上にあった。
北口を出てまっすぐ、パルコの横を歩き左折すると
通りの向こう側、西友の方から聞き覚えのある大声が聞こえてきた。
デジャブ!?  中国でもこんな事があったなw
反射的に声のする方を見ると
そこには、あの時と同じようにT監督の姿が。
超ビックリ!
それにしても、わかりやすくはっきりした大声をだす人だなと感心しつつ
すっかり忘れていた「再会」の約束を思い出した。
通りを渡り、
コチラに背を向けているT監督にそっと近づいて声をかける。
振り向いたT監督は少し間があったがすぐに私とわかって飛び上がって驚愕。
またまた握手を交わし「再会」を喜んでくれた。
カメラマンのC氏も一緒でこちらもビックリ。
一緒にいた通訳の方も監督から事情を聴いたのだろうが
「すごい偶然ですね」と驚いていた。
やはり、中国で言っていたとおり仕上げ作業で来日したのだが
当初の予定より3か月遅れたそうだ。
数日前に来て作業もめどがついたので、
これも偶然だったが
この日の夜から次の日は休みになるとの事。
それではと意気投合して
この夜、またまた以前と同じ焼き鳥屋で一杯飲ったのはいうまでもない。
急だったので先輩たちとは連絡が取れず
香港の通訳さん交えて4人で
何を話したのかはよく憶えていないが、実に楽しく過ごさせていただいた。店を出てまた「再会」と言って別れたが
さすがにこれ以上はないだろうと思った。中国人の訪日が今ほど容易ではなく連絡手段も少なかった時代に
国を越えて2度も偶然に「再会」できたのはどんな縁だったのだろう。

あれから30数年。
スマホやネット環境が普及してメールやLINEで容易に繋がれるようになった。
これほどまでの偶然にして奇跡的な縁は
生涯2度とないかもしれない。

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