運命の中国ロケ~その3~ TVスペシャルドラマ 

開局記念スペシャルドラマ

日中合作映画の次の年の冬だったと思うが
今度はTVドラマでの中国ロケ。
2時間スペシャルで中国ロケ+日本でのスタジオ撮影と残のロケーション
中国は2週間ほどだっただろうか?
今回は映画ではなくTVドラマなので中国の協力は「電視台」
上海が拠点だったので上海電視台の協力のもと撮影が行われた。
メインのロケは上海、
その後空路で西安を経由して陸路で中ヱ(ちゅうえい)へ。
終了後、上海へ戻り帰路。
日程はこうだったと思うが、
この「中ヱ」という町には何か因縁みたいなものを感じていた。
砂漠ロケの拠点という事で中国でも有名(?)だったらしいが
まさか、また訪れることになろうとは。しかも1年くらいで。

運命の再会

今回も照明部としては前回の合作映画と同じ技師と助手2名の3人が日本から。
中国の照明スタッフは3人程だったと思うが
多少のトラブルはあったものの前回の合作映画のような事はなく
割とスムーズに進行できたと思う。
他にも前回と同じスタッフがいた。通訳のC氏だ。
彼は前回もメインの通訳をしていて、あの時の焼き鳥屋でも一緒だった。
顔合わせの時に懐かしい苦労話に花が咲いた。

上海での撮影を終え「中ヱ」へ移動する。
西安までは飛行機。西安からは陸路での移動となる。

西安の空港に降り立つとここからの現地担当の西安電視台の方が出迎えてくれた。
目を合わせるやいなや「おひさしぶりです」と言われ、
自身も一瞬とまどったが、すぐに思い出した。
一昨年前に楊貴妃の番組で訪れた際の担当者のR女史だ。
しかも照明トラックは当時のマイクロバスのドライバーだった。
3人で再会を喜んでいると
「お前こんなとこに知り合いいるの」と感心された。
こんな偶然あるのかと思ったが、よくよく考えてみれば
国は違えど同じ業界。まして彼らは外人スタッフ担当の仕事が多いそうなので
こんな事も多々あるのだろう。
感慨にふけるのもつかの間、ロケ隊は間もなく「中ヱ」に向けて出発する。

砂漠の街へ移動

宿泊場所は前回と同じホテル。(外国人が泊まれる唯一の場所だそうだ)
出発地点は違えど途中からは同じような道を行くのだろうが
一年前に比べて格段に道路整備が進んでいるのを実感。
前回は途中で一泊する行程だったが今回は数時間の移動で済む。
前回もだったが今回のドライバーも何故かはわからないが正確な地図を持っていない。
案の定、道に迷って途中停車。近所の人に道を聞きに行ったりしていた。
前回訪中の際に買ったガイドマップを持っていた私は移動中気にして見ていたので
道路は変わっているものの、幹線道路で前回と同じような場所を走行していて
なんとなくの場所は把握していたので。
「この道をしばらく直進。鐘楼のある広い交差点を右折して軍隊か何かの施設の先がホテル」
と同乗の通訳に教えるとキョトンとして「何故知ってるの?」
私「去年来てて同じホテルに泊まった」とガイドマップを渡す。
ドライバーは位置を把握したようでそこからは迷わず進み無事にホテルに到着した。
懐かしい埃っぽい街並み。またここにやって来ようとはとしみじみ思う。

奇跡の再会

おそらく「中ヱ」に到着した次の日だったと思う。
技師と私は前年の経験がありホテルの食事が好みではなかったので
最初から鐘楼のある交差点の近く、屋台が並んでいる通りに行くつもりだった。
昨年も夕飯はほぼココに来て食べ歩きするのが常だった。
中国人も含めた今回のスタッフで知ってるのは私たちだけ。
夕飯時に食堂へ向かう他のスタッフをしり目に
初訪中のもう一人の助手さんを連れて外に出た。

鐘楼を曲がると間もなく屋台通りが見えてくる。
昨年のままの様相。懐かしい香り。
とりあえずお気に入りのシシカバの屋台目指して奥へと歩いていく。
と、通りの反対側で大声の話し声。
何の気なしにそちらを見ると
まさかの懐かしい顔がそこにあった。
人違いかと思ったが、聞き覚えのあるあの大声は間違いない。
昨年の合作映画の監督。その人がそこに居た!

後ろから近づいて肩をたたく私。何気にふり返る監督。
目を疑ったのだろう。一瞬の沈黙ののち監督の驚きの表情。
「エエ〇〇さん!」と声高に手を握ってくる。
傍らには昨年のキャメラマンも居て、やはり驚いた様子で肩をたたいてくる。
それはそうだよ。日本から遠く離れた異国の街で再会するなんて偶然、考えも及ばないよね。
騒ぎを見た技師もコチラに来て呆然!
下の助手さんも事情を話すと信じられないと驚いていた。

咄嗟に思い付き、昨年も一緒だった通訳のC氏を呼びに行く。
食堂で食事中だったがすぐに切り上げて来てくれて、こちらも驚きの再会。
それからは通訳を交えて話がもりあがり。
監督には高級健康茶(?)をおごってもらい路上カラオケ。「北国の春」を歌わされた。
ホテルの監督の部屋で昨年の思い出話と現在の話。
砂漠のシーンでよく撮影されている場所なのだそうで
監督たちは香港と西安撮影所との合作作品で
数日前から来ていて次の日に帰るという事だった。
我々は昨日についたばかりなので接点はわずか2日間。
改めてこの偶然には脱帽。まさに奇跡!
そして、その作品の仕上げを数週間後に調布の東京現像所で行うと聞き改めてびっくり!
予定の日に此方から会いに行くことを約束して
名残惜しかったがお開きとなった。

中国というのは「再会」の国なのか。
こんな形で過去作品で自身が中国で関わった人達に偶然会えたのは実に愉快だった。
しかも1年、2年経って名前まで憶えていてくださって感激です。
あれから30数年。その後全く訪中していないけど
行けばまた誰かに「再会」できるのかな。

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